ビットコインの復元は自分でできますか、それとも専門家への相談が必要ですか?

2018年2月23日 - マイケル・ヌンチック (Michael Nuncic)

ビットコインを保有するすべての人にとって、この問いは依然として、非常に注目の的です。実際には、いわゆるビットコイン所有者のほとんどは、ビットコインを実際に所有せず、世界中に数多くある暗号通貨取引所やインターネット上にアカウントを持つだけですが、実際に所有している人もいます。インターネット上で本物のビットコインを購入することは、過去も現在も可能です。必要なのは、有効なビットコインアドレスと秘密鍵を備えた現行のビットコインウォレットだけです。

例えばスイスには、ビットコインを売買できるATMがたくさんあります。バーゼル (スイス北部、ドイツ国境に隣接) ではスイスの鉄道会社SBBの券売機でビットコインを購入することさえ可能です。そこではビットコイン取引を扱うスイスの別会社のサービスが使われています。ただ、ATMでのビットコイン売買には時間がかかるので、ビットコインのユーザーや購入者は不満を感じています。今のところ、取引確認に30分近くかかる場合があり、顧客はATM前で列をなしてずっと待つことになっています。そして現在、採掘者 (マイナー) が検証してブロックチェーンに書き込まれるビットコインのトランザクション数は毎日 30万件です。そうしてチェーンはどんどん長くなっています。

紙のビットコインウォレットや、実際のビットコインコードが記載されたスマートフォンのデジタルウォレットは、今後のショッピングや取引で使えます。インターネット上で「本物の」ビットコインや他の暗号通貨を購入することもできます。これは、ビットコインのアイデアが始まった数年前に多くのアーリーアダプター (早期導入者) が行っていたことです。多くの人はビットコインを奇抜なアイデアとして購入するも、その存在を忘れていました。今では購入した2014年よりも価値がはるかに上がっているので、彼らはそれらのビットコインの保有継続か、「現実」世界での購入で使用することを望んでいます。 (ビットコインは先月50%を超える大幅下落をしましたが、それでも2014年からは500%上昇しています。これはおそらく、彼らがビットコインを購入したことによるか、もしかすると自ら採掘したことによるかもしれません)。

 

多くのビットコインは、消去されたり、現行のウォレットを開くための秘密鍵やパスワードを所有者が忘れたり、ビットコインを含むコンピューターを処分したりしたため、消失したかアクセス不可となっています。 ビットコイン消失の理由は大きく異なります。 あるデジタルフォレンジック会社の 調査によると、発行された 1 億 6,700 万ビットコインのうち、すでに最大 400 万ビットコインが永久に失われている可能性があります!

だからこそ、ビットコインを自分で復元すべきか、専門家に相談すべきかという問いに答えるのは本当に難しいのです。ここではリアルマネーの話をしているので、問いに対する正直な答えは「場合によります」となります。

それは、各々のケースでの価額と、ビットコイン消失の理由によって異なります。 消失は、(古いビットコインウォレットや秘密鍵が入っている) ディスクドライブの単純な削除やフォーマットのためでしょうか? それともハードウェアの故障のためでしょうか? ノートパソコンを机から落としたことによる、ハードディスクのヘッドクラッシュや SSD が機能しないことのためでしょうか? コントローラー内部が壊れてフォルダーにアクセスできなくなったためでしょうか?

ビットコイン復元に関するヘルプをインターネットで検索すると、その方法に関する多くの投稿があります。しかしその各々は特定の問題のみに着目しています。1つですべてのケースに対応する復元ソリューションは示されていません。

ソフトウェアによるビットコイン復元

多くの場合、古いビットコイン保有者の抱える問題は比較的解決が簡単です。それらはウォレットが保存されていたハードディスクを削除またはフォーマットしたというものです。データが保存されたハードディスク領域がその後数年間使用されず、他のコンテンツによって上書きされていなかった場合は、通常のデータと同様、データを復元するソフトウェアソリューションは数多くあります。 それ以外の場合でも、wallet.datが入っている古いフォルダーを見つけて復元できる可能性が十分あります。データ復元では多くのソフトウェアソリューションがありますが、OntrackEasyRecoveryを使用すれば見失ったファイルがほぼ見つかります。ソフトウェアでファイルが見つからない場合、ファイル消失後にディスクを使用していなければ、データ復元の専門家へ相談すべきです。また、単にビットコインのパスワードを忘れただけなら、忘れたフレーズを取り戻す方法はいくつかあります。しかし、まずwallet.datを回復するのが重要です。ただ、パスフレーズは17~24ワードであり、セキュリティのため誰も「クラッキング」ができません。パスフレーズを覚えておかないと、すべてのお金が失われるのです。このパスフレーズはビットコインウォレットで現行のスタンダードであり、安全性が高い分、復元は困難です)。

最も安全なウォレットとはいわゆるハードウェアウォレットである、と主張する人もいます。事実上、それは単に、より安全でより高額なUSBスティックにウォレットを管理することに値します。何か問題が発生し、バックアップがない場合は、こちらの記事 (https://www.wired.com/story/i-forgot-my-pin-an-epic-tale-of-losing-dollar30000-in-bitcoin/) でWiredのジャーナリストが説明するように、本当に神経がすり減る問題に直面します。 ただ、安物のUBSスティックだけにビットコインをバックアップし、それが壊れた場合、これは最終的に損失しても仕方ありません。ビットコイン早期に数千ビットコインを採掘したオーストラリアの男性に、それは起こりました。少なくとも彼は安全のため、さまざまなデバイスや場所にバックアップやコピーをいくつか作成する必要があったのです。現行のビットコインソフトウェアクライアントへ転送するために古いビットコインソフトウェアウォレットからビットコインを復元しようとするとき、このようなことがもう起こらないとは言えません。 その様は、こちら (https://www.engadget.com/2017/12/05/how-not-to-store-your-bitcoins/) の驚きの話で示されているように、複雑怪奇となりえます。

結論: ビットコインを紛失した場合、それを自分で確実に復元できるケースは数多くあります。誤った削除によりビットコインが失われた場合、またはハードディスクをフォーマットした場合でも、ビットコインの入ったウォレットをソフトウェア復元ツールで復元できる可能性は十分にあります。

ただし、ここで何か問題が発生し、データが破損した場合、ビットコインの復元はずっと困難となるため、それは一般ユーザーが行うべきではなく、OntrackDataRecoveryなどに所属する実績豊富でデータ復元専門家が行う必要があります。専門家は、ウォレット全体や秘密鍵などのデータを少しずつ復元する特別なツールを保有しています。

ビットコインの消失がハードウェア障害に関連している場合も同様です。専門家に連絡を取ることが最善の選択です。多くの場合、ハードウェア障害は、必要なすべてのソフトウェアおよびハードウェアツールを備えた専門のクリーンルームやデータ復旧ラボでのみ専門的に取り扱えますが、それらのツールは専門家だけが保有しています。お金の危機ですから、永久的損失につながる可能性がある素人の日曜大工ですべてを失うよりも、専門家に仕事を任せたほうがよいです。

*参照記事は英語のみとなります。
(原文:英語)
(翻訳:Lionbridge Technologies Inc)

 

Load more comments


セキュリティコード